「桃華のことなんだけど。」

く、九条さん?

嫌だ。聞きたくない。

「俺とあいつの秘密。」

余計聞きたくない!聞こうと思わないから!

「俺が産まれたときから決まってたんだ。俺とあいつが結婚することが。」

け?

結婚!?

「でも、俺は嫌だったから断りに行ったんだ。それが、キスされた日。」

思いっきり気を引こうとしてるじゃん。

「桃華の親と桃華に伝えたあと、呼び出された。なにかなって思ったらそれ。驚いた。私の気持ちは変わらないよって言われた。でも……!」

佐川は黙ってしまった。

「でも、俺には好きな奴がいるから。断った。」

好きな奴がいる。

好きな奴がいる。

聞き間違えかな?

好きな奴??

佐川にいるの?

「そいつはお前に似てんだ。」

私に?

似てる………?