「今日、伺ったのは話しておかなければならない話があったからです。」

気を取り直して翔輝は話し始めた。

「りかさんと婚約させて下さい。」

「え?」

お父さんは呆気に取られてるし、お母さんは目を輝かせている。

「もちろんいいわよ!」
「ダメだ!」

お父さんとお母さんの言葉が重なった。

「まだ、中学生だぞ?なのに婚約?ふざけるな、そんなの口だけだ。」

はあ?

お父さんは翔輝のこと知らないくせに適当なこと言わないでよ!

「私はいいと思うわ。だって、本気じゃなかったらわざわざ家に来ないわよ。」

その通り!

お母さん大好き!

「りかがこんなに可愛いから近づいてきただけだろ!マーキングしたいだけだ!」

黙って聞いてれば何言うの?

「お父さんもホントは分かってるんでしょ?佐川くんはいい子だって。」

「そんなものは分かる。でも………」

「お父さんが寂しいんでしょ?りかがお嫁にいくの。」

「え?」

「だってそうじゃない。りかのこと大好きなんだから。」

お父さんは黙ってしまった。

そんな理由かよ。

「お父さん、安心して。少なくともあと三年はここにいるから。」

しゅんとしてしまったお父さんは渋々頷いてくれた。

「分かった。」

やった!

「ただし、あんまりイチャイチャするなよ!」

え?

なんでそんなことお父さんに決められないといけないのよ!