叶わなくてもいいから、恋したい。

「私と翔輝のこと聞いてる?」

「うん。」

この事か。

まだ何かあったりして。

「翔輝と私は『たまたま』出会って婚約者になったんじゃないの。その『たまたま』は翔輝のお父さんの策略だったの。」

え。

たまたまじゃないってどういうこと!?

策略だったの?

「本当は私も今住んでるところに昔からいたの。でもね、翔輝の家と私の家はいわゆる名家でしょ?それで婚約した方が会社の未来の為だからって。」

会社の為に子どもを使ったの?

「たまたま出会ったことにすればロマンチックな感じになるってなったの。それで引っ越し、また戻って来たの。」

なに…………それ。

「結構、翔輝はひなちゃんが好きで私の入り込む隙間なんてなかったんだけど。」

九条さん………

「だからさ、私はこれでいいと思うの。私が前に進むためには必要なことだったから。今は恋愛休憩中だけど、いつか傷が癒えたらまた恋愛したいんだ!」

九条さんはとても可愛い。

でも、可愛いだけじゃない。

本当は強くてカッコいい女の子だったんだ。