叶わなくてもいいから、恋したい。

会場に入るとすぐに九条さんがいた。

「翔輝たち、やっとくっついたんだね。」

あれ?

なんで九条さんがいるんだろう。

「桃華にも迷惑かけたな。」

「ほんとにね。」

???

何かあったのかな?

「桃華、誰と話してるんだい?」

そう馴れ馴れしく九条さんに話しかけるおじさん。

もしや、九条さんのお父さん?

「パパ、翔輝とその彼女の西牧ちゃん。」

翔輝、という単語を聞いたお父さんは顔を強張らせた。

仕方ないよね、元婚約者に彼女がいるんだもん。

「その節はすみませんでした。」

翔輝は深々と頭を下げた。

「今、君は幸せなんだろ?」

「はい!!」

「それならいいよ。君には君の、桃華には桃華の幸せがあるからね。」

なんていい人なの!!

「会長、そろそろ………」

「ああ、そうだね。では失礼するよ。」

九条さんのお父さんは行ってしまった。