王子様の弱みを握っただけなのに。



「写真、消してもいいよ」


「え、まじで?」


「懇願してきたのはそっちでしょ?」



私があっさりと承諾するとは思わなかったのか、目を見開いて「信じられない」と呟く王子様。



「だって、この顔ショボいじゃん。
撮るならもっと面白い写真がいい」


「俺の顔に注文すんな」



その言葉を右から左に流して、私は写真のアプリを開いて先ほどの写真を表示する。



「はい」



そして『写真を削除』という項目を見た後、王子様に画面を見せつけた。



「我ながらひっでえ顔」


「でしょ? 自分で消していいよ。
あなたのそういう顔撮れる機会なんていくらでもあるし」


「二度と作らせねえよ」



王子様はそう言うと、削除の項目を躊躇いもなくタップしたのだった。



……引っかかった。



私はまんまと罠に引っかかった王子様に心の中で思わず鼻で笑ってしまった。