王子様の弱みを握っただけなのに。



「っ、沙也加……?」



どこか困惑している声音で名前を呼ぶ。


今は何も言わないで。


こっちは慣れないことで恥ずかしいんだから……!


穴に入りたい思いで、歩夢の胸に顔をうずめた。



「え、何でそんなに可愛いの……?
もっと俺を依存させてどうしたいの? 殺す気?」



抱きしめる腕を解いて、両手で顔を覆った。


私はさらに恥ずかしくなったので、抱きしめる腕をより強くした。



「見栄っ張りで強がりな沙也加がこんな風に甘えてきたら……耐えられる自信がなくなるんだけど」



私は顔を上げて歩夢と目を合わせた。


歩夢の目線は私の口元で、歩夢のしたいことが分かってドギマギしてしまう。



「「……っ」」



どうしよう、これってもしかすると……。


いや待て、私たち付き合ってないのにそれはいけないんじゃないのか……!?


そこはきちんと順序を踏まなければ。