模擬結婚式という名の結婚式が終わり、尊の仕事が忙しいので、鈴たちは、軽く立食パーティをやったあとで、そのまま二人で、博多に向かうことになった。

 いや、二人と一匹でだ。

 鈴の膝には、ゲージに入ったぽすが乗っている。

「社宅、ペットオッケーでよかったです」
と鈴は笑ったが、尊は、

「ぽすは、ペットって感じがしないけどな。
 なんとなく」
と呟いていた。

「でも、どっちかと言うと、ぽすはお父さんたちの方に居た方が、お父さんたちが寂しくないような……

 って、まあ、あんまり、あの人たちには関係ないですかね?」
とかなり自由に生きている両親を思い出し、鈴は言った。

 そして、車はまた、ロールスロイスだった。