その様子を見てか、自分の役目は終わったと思ってか。

「じゃあ、ごゆっくり」
と言って、正明は、この騒ぎをそのまま丸ごと置いて、行ってしまった。

 和音が客とともに、使用人も連れて戻ってきたようで。

 正明は通りかがったメイドに、酒を守衛室に持ってくるよう頼んでいた。

 ……また戻る気か、守衛室に。

 っていうか、この家の奥方様は、本当のところ、誰なんだ、と思う鈴の側で、数志が窪田に訊いていた。

「なにやってたんですか」

「いや……大変だったんだ」
と乱れた服装で窪田は言ってくる。

「おかしいな。
 お前に言われた通り、泉美様の部屋のあるフロアは外したのに、なんで、見つかったんだろうな?」

「さあ~」
と言って、数志は笑っていた。