平日でまばらとはいえ、そこはやっぱり谷宿。 それなりにいる道行く人たちが、あたしたちを見てるのがわかった。 ここまで来る途中の裸足の恥ずかしさとは少し違う恥ずかしさがこみあげる。 慣れない恰好、するもんじゃないな、って。 だけどそんなの全然お構いなしの様子で秋田君は早足のまま突き進むから、あたしは走るみたいになってやっとでついて行く。 もともと、身長差だって三十センチくらいあるんだもん。 普通に歩いてたってあたしはきっと小走りになるに違いないのに。