家に帰っても、着替えが済んでも、秋田君からのリプは来なかった。
あたしは谷宿で秋田君に買ってもらったキノコさんの赤いワンピースを着て、鏡の前に立つ。
夏物だから、ハイネックの白いニットを着てみた。
変じゃ、ないよね?
来てくれるかどうかもわからないけど、あたしは秋田君と逢うためのおしゃれを、初めてしているのだ。
これを着て谷宿を歩いた以外は、制服か、おかしな恰好だけしか、見せていない。
反対にあたしは、そのときのモデルさんみたいな秋田君や、文化祭の綺麗すぎる女装に、コンサートの白いブレザー。
どの秋田君も眩しくて、悔しいくらい。
だから、せめて今夜くらいは、可愛くなりたい。
フラれてしまうとしても、お別れでも、可愛かったなって、記憶に残りたい。
よし、行こう。
深く息を吸い込んで、
あの日の靴につま先を滑らせた。



