コンサートが終わって、あたしは興奮気味の人の波に流されるように歩いていた。 会場の外は冷え切っていて、アドレナリンかなにかに騙されてここまで来れた制服一枚のあたしは、いま、割と切実にピンチだった。 「寒っむ……」 チリリン……。 自転車みたいなベルの音がした。 だれかのスマホ? すっごいリアル。 チリリン! まただ。 何の気なしに、音のするほうに目をやると、オーナーさんがあたしの、じゃないや、吉岡君の自転車を持って立っていた。 あたしを、待っててくれたの?