「ちとせ、唇紅いよ」 「あ!」 「……それ、秋子ちゃんだね。もう……大丈夫なの? ガード甘々じゃん」 「っつ……ごめん! 落としてくるから先行ってて」 秋田君の口紅があたしに移ってたんだ。 もう、恥ずかしいのと、呆れられた、っていう焦りみたいなのと、さっきの吉岡君のこととかを思い出してしまって、無理。 トイレに駆けこむフリをして逃げるしかなかった。 あたし今日、逃げてばっかだ。 秋田君から逃げて、 吉岡君から逃げて、 奈々からも……