でもそれを先輩にぽろっとこぼしたとき、言われたんだ。

『いいなぁ。可愛いお母さんだと思うよ。ちとせちゃんのこと頼りにしてるんだねぇ。うちにそんなお母さんがいたら一緒にスーパーとか行きたいな』

あたし、この時はじめて先輩んちがお父さんしかいないってことを知った。

そうか……
双子の秋田君のほうにお母さんで、それで先輩のところはお父さんだったんだ。

あのときから、あたしはほんの少し、お母さんの買い忘れに協力的になったと思う。
母親がやって当たり前みたいな考え、恥ずかしいなって反省したの。

先輩はお母さんいなくて、お父さんと協力しあいながら暮らしてたから、いつも帰る時にILNEでなに買ってく? とかやりとりをしてたんだって。