「え。
マジーー」

衝撃発言な斗真に、俺と類は驚愕に目を見開いた。

「なんか、変なこと考えてない?
病人に、手を出すほどひどい奴じゃないけど?」

まあ、たしかに。

いくら斗真でも、ないだろう。

「わかったよ。じゃあ、帰るから」

心配だけど、俺が出来ることは何一つ、ないから。


「じゃあ、はい」

斗真に渡されたのは、5千円札。

戸惑う俺らに、斗真が笑った。

「タクシー代と、夕飯とお弁当代だから大切に使えよ」


斗真の言葉に、ジーン、と来る胸の打ち。

「ありがとうっ」

「ありがとうございます」

ただ、その優しさに感謝した。

想は、いまだに苦しそうで。
ちらっと見て、歩き出した背中。





「ありがとう、佐伯くんっ」

君が、微笑んだ。
それだけで、今は満たされる。

「また、明日会いに来るから」

その笑顔に、微笑んだ。