キキィーーーーー。


止まった総合病院。
今は午後、3時。

それなりに人も居て、想を抱き抱え受付へ。
なんだか人に見られてる気がしてならない。
何故だか、俺の手元に視線が来る。

俺の手元って言えばーー想を抱いている。

想を見たら、腕の中で荒い呼吸を繰り返して眠っていた。

可愛い想。

小さな君。

「甘宮 想です。朝から風邪で具合悪くてーー「あなたはーー」

受付の看護師は、怪訝そうに見ている。

今だけはーーーー。


「恋人です」



今だけはーーーー悪あがきさせて。

斗真もいない、類もいない。


君の恋人でいさせてよ。

どうか、否定しないでーー。


「分かりました、書いて貰いたいモノあります。
なので、甘宮さんはこちらへ」


想を処置室へ運び、紙に目を通した。

「えっと、想の誕生日はーー」

あ、、想の誕生日。
知らない。

保険証を、見つめた。

想の誕生日、想の好きなモノ、想の好きな色。
「俺、何も知らない」

想のこと何も知らない。

紙に、想の名前を書きながらーー少しだけ寂しく思った。