「アホ、誰がおめーらにやるか。
想は、俺のだ!
他の奴には、奪わせやしねーよ!」

なるほど。
仁が、さっき言ってたことはこう言うことか。
だけどーー、俺はニヤリと笑い輪を抜け真ん中に来た。

「な、なんだよ類。
何しに来た!「はいはい、変わってね。
ずるいよ、仁は。想ちゃんは、仁のじゃないよ。
仮彼女なんだからっ」

強引に仁から想ちゃんを奪うと、想ちゃんの手を握った。

柔らかく、小さい細い手はまさに、女の子特有だった。

それに、なんだか想ちゃんの髪の毛から漂うお花の香りが、鼻につく。

甘い甘い香り。

「ちょっーーーーおいっ」

まさに奪い合い。

「奪っちゃったあ!
悪いね、仁っ」

輪の中で、いい争う俺らを外野は何も言わない。


つか、たぶん言えない。