*想side*

ドキドキする胸を抑えたのは、私。
佐伯くんの言葉一つ一つが、私の心を揺さぶる。
「佐伯くん、ありがとう。
こんな見ず知らずの私を守ってくれて」

私は、ペコリ、と頭を下げた。

「勘違いすんなよ?
想だから、守るんだ。
お前は黙って俺について来いよ」

君の言葉一つ一つが嬉しくて。
私の心は、暖かくなる。

これが"恋"なら、私はきっと重症だ。

俺様な佐伯くんが、今ーーものすごく気になる男の子だ。

「想ちゃん、騙されるな。
そいつは、狼だよ!」

斗真さんが、キッ、と睨む先にいるのは佐伯くん。

佐伯くんが、狼ーー?

「あは、ないない。
佐伯くんが、狼とかっ」

私はニコ、と笑った。