暗い路地裏。

雨雲の、世界が広がるその空を眺めた。
「想悪かった。

志貴、送ってやって」



なんでこの時ーーーー




「いいよ、大丈夫。

一人で帰れるから。
志貴くん、ありがとうっ。
また、明日ね!」


君を、ちゃんと送り届けなかったのか。


帰る想の背中が、最後。

ちゃんと見てあげなかったことが、後悔。

「悪かったな、志貴。
立てるか?」



俺は、座り込む志貴に手を差し伸べた。


「なあ、輝は仁とは仲間だよな?
仲間の彼女に手を出すって、いいことか?」




ずっと地面を見つめたままの、志貴が顔をあげた。


そんな、当たり前のことが分からない訳じゃ無い。

仲直りしたあの日を、忘れた訳じゃ無い。
忘れた訳じゃ無い。

「白牙関係なく、想が好きだ。
守りたいーーーー」

暴走族は、関係ない。

関係なく、想がーーーー












〜〜〜〜♪



聞いたことのある音。
想の着うた。

なんで、近くにいる?