「ヒカリちゃん、休もうっ。
明日からまた学校だし。
今は少し、休息の時間だよ。

大丈夫っ、明日からまた一緒だよ。
ずっとずっと一緒だよっ」


ヒカリちゃんは本当は、とても繊細でとてもか弱い。

皆が知ってるヒカリちゃんは、どんな子?
頼れるお姉さん系。
だけど、本当はーー知れば知るほど分かる。

「ありがとうっ、想っ」


でも、やっぱり少し不安でーー私は。


「今日、私の部屋に泊まりにおいで!」

私も、本当は少し不安だった。

この先の未来にーー。

「うん、ありがとうっ、想」

ヒカリちゃんが、笑った。


「私、準備してくるっ」
ヒカリちゃんが、リビングを出て行ってーー
仁くんと二人になった。


「なあ、想。

輝と志貴に、ドキドキしたことあるか?」


恐れていたことを質問されて
固まる私。


「ーーそれは」

なんて、答えたらいい?
本当は、ドキドキするよ。
だけど、目の前の仁くんに、私は本心を言えない。

服の袖をギュッ、と握り、俯いた私にーー

君の大きな手が、頭を撫でた。


仁くん?

「そうだよな、ドキドキするよな。
ごめんな、意地悪言った」

私が何も言わないからだ。
言わないのは、そうだよって言ってるのと一緒だよ。
私はバカだ。