「あ、来た!
あたし、出るね!」

ソファから立ち上がるヒカリちゃんは、玄関に向かって歩いてく。

ソファに腰を下ろしていた相沢くんは、深いため息を零した。

「はあ、最近ーーヒカリがよくスマホいじってるんだ。まさか、相手がアイツなんてなあ。

想ちゃん、ヒカリを奪われそうで怖い。

アイツに、奪われそうで怖い」

相沢くんの気持ちが、痛いほど分かる。





「行かなくていいの?
ヒカリちゃん、真一くんの側に居るんだよ。

いいの?
一番、近いとこにいるのは、相沢くんだよ」


真一くんには、悪いけどーー相沢くんが、一番近い場所にいる。

想いが通じ合わない訳ない。





ガラッーー。
ドアが、開いてヒカリちゃんが立ってる。



だけど、一人じゃないのがわかった。

「し、真一くんっ、いらっしゃい」


正直、しんどい。

今の空気に。



「ああ、相沢も居たんだ」


ん?知らない?一緒に暮らしてること。

「一緒に暮らしてるからな」

少し、不機嫌な相沢くん。


瞬間ーーーー真一くんの表情に影がさした。

「真一、何飲む?
コーラあるかな、待っててね!」

何も、変わらないのはヒカリちゃんだけ。

ヒカリちゃんは、誰が好き?