「俺の仲間だった仁は、俺らのチームの幹部だった。

俺達の仲間は、みんな知ってた。

俺はユリの兄貴で、ユリは俺の女でもあると。

一部の仲間は、理解してくれた。
だけど、仁だけは違った。

ユリにーー"汚い女だな、兄貴に抱かれたのか?
寄るなよ、気持ちわりいな"そう吐き捨てた。


傷ついたユリはーー自分で自分の命をーーっ」


嘘ーーっ。



仁くんが、そんなひどいこと言う訳ない。

「嘘、仁くんがそんなひどいこと言う訳ない!」


私は、咄嗟に叫んでいた。
あり得ない!


「嘘じゃないよ、目の前にいて俺らも聞いたから。
仁が、確かにそう言ったんだ。

アイツは、俺から大切なユリを奪った。


だからーーーーっ!!」


私は輝さんの腕に引かれ、胸の中にすっぽり入る形になる。


「アイツから、アイツの大切なお前を奪ってやるよ!!!」



「いやっ!」


驚いたのは、彼が私の唇を奪ったからだ。

仁くんーー。



ねえ、仁くん。
嘘だよね?


わかんないよ。


「輝っ、もうやめろよ。
泣かすなよ、可哀想にっ」


私、泣いてる?
知らぬ間に流した涙。

唇が、離れて輝さんが見つめるその先をーー追いかける様に見た。



息が、出来ない。





「想っーー。









想にだけは、知られたくなかった」



やっぱり、本当なの?


流した涙は、止めてはくれない。