「ダメだよ輝くん、女の子には優しくしないと」

そう言いニッ、と笑う赤い髪の少年。
派手な色の割に、物言いは柔らかくて可愛い。

まるで、女の子みたいだ。

「女苦手なんだよ。すぐ泣くし、すぐ怖がるし」

照れくさそうに頭を掻いた輝さん。

不器用なだけなのかも、知れない。
私は思わず彼の顔を見つめていた。


「お、おい、あんま見るなっ」

いきなり、焦り始める輝さんに、私は首を傾げた。


「ーーっ、なんなんだよっ」


真っ赤な顔を、抑える彼に私はまた首を傾げた。

「うわっ、輝くんが照れてる珍しい!
ユリちゃん以来だね!」

咄嗟に出たユリさんの名前。

いきなり、無表情になる輝さん。
その表情は、固い。


「言えば?
いつまでも、ユリちゃんの呪縛から解けないままよりいくない?

輝くんが話せないなら、俺がーーーー「真一、わかったよ。
言うからーーだから五分待てよ」


五分。

短い様で長い五分。
ううん、私には物凄く長く感じた。


「ユリはーーーー











俺の妹だよ」










えっ、妹ーーーー?





「そして、好きになってはいけない人だった。
それでも、関係ない。
愛してた。



ユリも、愛してくれていた」





語られる一つ一つの言葉には、重みがあった。