揺れる揺れるバスの中。
隣には、不機嫌な彼。

「あの、仁くんっ。

あのねーーっ「わりい」


不意に逸らされる視線。

窓の外を眺める彼の不機嫌な横顔を、眺めた。

「………」


楽しい筈のイベントも、今は泣きたくて仕方ない。



君に見られない様に拭った涙。

君に見られない様に静かに泣いたーー。


走りだして一時間。


「なんで、この年で動物園行かなきゃ行けないわけ?」


着いたのは、サファリーパーク。



ヒカリちゃんが、不満の声を漏らした。


「えー、動物園いいじゃん!?
ヒカリ、ハムスターの競争だってさあ」

大はしゃぎな相沢くん。






「はい、ではーー隣の学校の交流を深めるためには、自然に触れ合うのがーーーー」


校長先生の話は、特別長い。

周りの生徒は、つまらなそうに聞いている。

自然に触れ合うと言ってもなあ。



隣の男子不良高校のメンツはーー
ダラダラとしたやる気のなさ、座り方。

更に、威嚇した様な目で周りの生徒を怯えさせていた。


「想、迷子になるなよ。
喰われるぞっ」



「はい、気をつけます」




なんて、言ってーーーー。












迷子になりました。





あー、どうしょう。

広い敷地内。