「仁くんーーっ」

「仁っ」


えっーー?


同時に同じ名前を呼ぶ声に、ハッ、とした赤髪の男の子。


「なるほど、仁の大切な子って訳ね」


知り合い?

呼び捨てだし、きっと知り合いなんだろう。
それが、わかった。
だけど警戒心は抜けないまま、、私は身を固くした。

「お前には、関係ない。
こいつには、触らせねーから」

私をぎゅっと抱きしめた仁くんの手がーー微かに震えていた。

仁くんーーー?




小さな子供みたいにしがみつく仁くんの腕に、手を絡ませた。


"大丈夫、大丈夫"。

「何してんだ」




割り込む声の主は仁くんの前で、止まった。



「仁。

俺あの時のこと許してないからな」








あの時ーー?







「お前が、ユリを殺したんだ。
自分だけ幸せになれると、思うなよ!」









ユリさんーー?







誰?







私は仁くんの顔が見れなかった。