「片瀬、ちょっといいか?」


彼はまた、私のとこに来た。
甘いマスクで人気な彼は、みんなの王子様だった。

だから、きっとプライドも高い。
見た目の可愛い子を、隣に置きたいだけなんだ。

「いいけどーー、何?「お前、ふざけんなよ!」


廊下。
人気のない廊下に連れ出された私はーー、いきなり怒鳴りつけられた。

何ーー?


「お前、想ちゃんに手紙渡してないだろう!?

朝、想ちゃんに聞いたら知らないって言われた。
お前、俺の気持ちをなんだとーーっ「ふざけんな!
手紙なんか、渡してないで、ささっと好きって言えば! どうせ、隣に可愛い子が置きたいだけでしょ?

想じゃなくたっていいんでしょう!」


ムカつく。
なんか、ムカつく!

でも、ムカつく原因がなんだか分かる。


「あー、お前好きなんだ?俺が。

でも、悪いな。
俺、あんたみたいなブス嫌い。
性格ブス。
何?隣に可愛い子置きたいだけ?
俺が?
俺さ、前はこんなんじゃ無かったんだよ。

根暗だし、実はマンガ好きでオタクだし。
だけど、イイって言ってくれたんだ」


まさかーーーそれが"想"?


「"日高くんは、そのままでいいから大丈夫"って。
だから、それからはーー素の自分を出した。
素の自分をイイって言われたのは、初めてだった。

そんな簡単なことじゃダメなの?

あんた、想ちゃんの友達だろ?
本当、訳分かんねー」


そうだ。


私も、日高くんを好きになったのは、単純なことだった。

単純に、隣同士でーー。
"お前も同じクラスか、よろしくなっ"

そんな単純なことだった。

私が、悪い。
あの子は、悪くない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー