「お巡りさん、あの人です!





捕まえてください!」


想ちゃんが、叫んだ後ろからーー、どこから引っ張って来たのか、警察がーー 一人。



ちょーーマジかよ。
証拠もなんもないのにーー。




「ふざけんな、なんの証拠もなんもないのにーー捕まるわけっ」


そりゃそうだ。

現場を最初から見ていたわけじゃない。

見ていたわけじゃない。


「証拠なら、上がってる。
いいから行くぞ!」

有無を言わせず、あの男は連れさらわれた。


ヒカリーー。


「ヒカリちゃん、大丈夫?

頰、赤くなってるっ。痛い?」


想ちゃんーー。

想ちゃんは、やっぱりヒカリをいつだって大切に思ってる。


「ヒカリ、一緒に住もうっ。
これからずっと、一緒だよ」







「ダメだよーーアイツがあたしを逃すわけない。
絶対また、来るからっ」







「いいじゃん、来たら俺がやっつけてやるよ!

ヒカリのヒーローだろ?
俺、負けないからっ」


なあ、ヒカリーー。



不意にヒカリが動いた。
俺に手を伸ばして抱き締めた。



「類ーーっ、ありがとうっ。
みんな、ありがとうっ」




月の光に照らされて、ヒカリの顔が、よく見えた。


笑っていたんだーー。