食事を終えたあと、旅館の売店を覗いた。お土産物だけでなく、なぜか婦人服や小物なんかも売っていたので目を引かれたのだ。若干趣味とは合わないし、アラフォー世代向けな感じもするけれど、私は三日間同じ服を着続けている方が嫌だった。

それにパンティは阿賀野さんが買ってくれたけどブラはずっと同じものを付けている。それも嫌で、浴衣の下に仕込むためのTシャツも欲しかった。

互いに好きなように物色したあと、お風呂に行くことにする。

「美麗、先に入って来いよ」

「え? でも」

「鍵、ひとつだし。フロント預けるのも面倒だから、俺は部屋の風呂でいい」

「でも」

阿賀野さんのほうが雨に濡れたはずだ。温まりたいなら、シャワーよりも温泉のほうがいいと思うんだけど。

「いいから。俺また朝風呂もするし。先に行ってこい」

「あ、じゃあ、私、戻りにコインランドリーコーナーで下着類だけでも洗おうと思ってるんですけど、阿賀野さんのも一緒に洗いましょうか?」

ほんの少量を洗うのも気が引けたから言ってみたんだけど、予想外にぎょっとした顔をされた。

「いいよ、俺コンビニで下着も買ってきてるし」

「そうですか? 乾燥までかけちゃえば明日着れますよ」

「いいよ。大丈夫」

あまりにもムキになられたので、引き下がることにする。
他人のものと一緒に洗濯されるなんて、嫌なのかもしれないし。