だから、私は……敢えて彼に、

『これ以上連絡してこないで』

と送信した。
すると、すぐに返信がやってくる。


『もう本当に遅いのか…?それともまた逃げるのか…?』


その言葉にカチンとくる。

先に裏切ったのはそっちの方なのに。
なんでそんな私が悪者みたいな言い方をされなきゃならないの?

そう思ったら、居ても立ってもいられず、通話ボタンを押していた。


「ちょっとどういう…」

「好きだ」

「……っ」

「ずっとずっと、煌の事だけが、好きだ」


混乱する。
この人は一体何を言ってるの?


「なん…」

「あの時、すぐに誤解が解けてれば良かったんだけど…ごめん。彼女、あの時…学校辞めなきゃなんないくらい大変な時で…。ダチから頼まれて相談受けてて…煌の気持ち、ちゃんと考えてやれなかった…」


掠れた声には、怯えが潜む。
そうだ、この人は実は脆い人だった。
それはよく知っていたつもりだったのに。