パニックを起こしている頭で、どうにか助かる方法を考えてみるがどれも成功しそうにない。
 もう腹を括るしかない。そうと決まればレッツ現実逃避だ。
 そんなわけで、アタシはもう一度、隣のイケメンさんに尋ねた。


「……どちら様ですか?」と――。
 

 アタシの質問に風圧で前髪がオールアップになったイケメンさんは一瞬、驚いた様に目を見開いた。
 だが、すぐに元の無表情に戻ってこう言い返してきた。

「申し訳ございません。現在の最優先事項は、マスターを無傷で地表にお届けする事でございます」

 冷静にそう言うイケメンさん。
 無事にって……失礼だが、言わせて貰おう。
 

 何、寝言を言っているんですかねぇ、コイツは。
 アタシは嘲笑を込めて、冷たく「ハッ」と鼻で笑ってしまった。


 パラシュート無しで無事着地って、そんなの無理に決まってんだろ。
 頭良さそうに見えるのに、実はガッカリ頭脳の持ち主なのか。
 ちょっとだけ期待したアタシもガッカリだわ。