「綾野さん」

「はい?」




歴史の先生に資料室に呼ばれ、いってみると、ニコニコ笑った若い歴史の女の先生が、遥に一冊の古びた本を渡した。




「新撰組?」




懐かしい響きに胸を踊らせ表紙を見つめる。




高校2年綾野遥。全く普通の女子高生。

だけど本当は江戸時代を守り抜いた人物だったり。




タイムスリップのことがあってからもう1年。学校の裏山には真っ白な雪が降り積もっていた。




「その物語、すっごく面白いのよ」




先生は赤い眼鏡を胸ポケットから取り出すと、耳にかけて本を開いた。




「未来からタイムスリップして、新撰組の隊士と恋に落ちる話なんだけどね?

その主人公が綾野さんと同一同名!…………………ね?、面白そうでしょ?」