「だって、歳さまの顔に傷なんてつけられないのですもの!」



泣きながら言う女に、近藤は「またか」と呆れた。



「でも、もう吹っ切れました!ありがとうございました」




土方は、女を落としては、結婚を迫られていつも断って、近藤を困らせていた。




団子屋を出ると、近藤と土方は道場に戻った。



道場には、幼い頃から総司朗という天才剣士がいて、道場一強かった。


のちの新撰組一番組長沖田総司です。




「近藤さん!」



沖田が無邪気に道場を走り回って、お目付け役を困らしていた。



「総司朗、ちゃんと稽古しろって」


「ごめ――ん!」




近藤と土方は、顔を合わせてため息をはいた。