そのとき、彼がふとこっちに視線を投げた気がして、あたしはサッと柱の陰に隠れた。
あ、危なかった!
あとちょっとで見つかるところだった。
でも大丈夫だよね?
こんなに女の子がいるんだもん。
見つかったところで、昨日の女だなんてもう忘れてるはず。
どこの女の子にもあんなことしたり言ったりしてるんだよね?
なんの特徴もないあたしのことなんて覚えてるはずもないけど、念には念を。
そのままの体制で、息をひそめて身を隠していると。
「わー!カッコいい~」
その横で千春ちゃんは、目を輝かせてキャッキャし始める。
他の子と同じように、スマホを片手にかざして。



