「そこの席の人、このままずっと来ないのかなぁ」



千春ちゃんは、目線の先にある空席を指さした。


遅刻にさぼりに早退……と、誰かしらいないから、空席があっても特に目立つことはないんだけど。

それでも3つの席が、いつもきまって空席なんだ。


「そんなに気になるの?」



黒羽は不良校だから、来ない人がいてもぜんぜん不思議に思わない。


クラス名簿もないし、先生も彼らが来ないのを何も言わず出欠すら取らないから名前も分からないんだ。


留年した人かもしれないし。

逆に、これだけ席が埋まっているほうが驚きだと思うけどなぁ。



「だって、イケメンかもしれないじゃん」