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「足大丈夫か?」



放課後、あたしの隣には寄り添うように南里くんが歩いてくれてる。


あやめに行かないことは煌くんから聞いていたのか、一人で教室を出ようとしていたら南里くんに捕まえられたんだ。


『俺も一緒に帰る』って。



「大丈夫なのに、なんかごめんね?」



ひとりで帰れるって言ったのに、南里くんは聞いてくれなくて。


煌くんならまだしも、南里くんがこんなに強情なんて初めて知ったよ。


告白のこともあるし、なんとなく気まずい気持ちがあるあたしは、隣に南里くんがいるだけで意識してしまう。


なのに、南里くんはそんなこと一切気にしてないようだからまた、どうしていいのか分からないんだ。


ケガをした日は、学校からタクシーで向かった。『今日こそ煌の車だよな』なんて笑いながら。


今日は、駅まで歩いてそこから電車に乗る。煌くんに出会う前の通学経路で。