溺愛総長様のお気に入り。



『その時からずっと煌は愛莉が好きだったのかも』


南里くんはそう言ってたけど。

そんなの、万が一、億が一でも考えられないから。


ひとりをずっと想い続ける様な人が、そんな発言するわけないんだから。


南里くんみたいに、気持ちをぶつけてきてくれた人のことを思えば、あたしが煌くんを好きになるなんて、笑うほど悔しいはず。


やっぱりあたしは暇つぶしの材料だったのかな。


引き止めたり怒ったりしないってことは……そういうことなんだ。


煌くんは黙ったままで、怒ってるのかそうじゃないのかもわからない。


やがて車は学校に着いた。



「じゃあ……行きますね。ありがとうございました」



あたしは煌くんの返事を聞かず、運転手さんにお礼を言ってから車を降りた。