「二宮さん……だよね?」
「うん」
「あたしのことは、桜子でいいから、えっと……」
「あたしは愛莉です」
「愛莉ちゃんね」
「うん、よろしく」
「良かったぁ。友達が出来るか不安だったの」
桜子ちゃんは、ほっとしたように優しく笑う。
ツンとしている感じもないし、普通の子と変わらない。
千春ちゃんが言っていたような印象を抱くこともなく、視聴覚室への移動の間、話は弾んだ。
無事に授業が終わり、帰りも桜子ちゃんと一緒に戻ってくる。
このあとはお昼休みで、早い子はもう教室でお弁当を広げていた。
あたしも急いであやめに行かないと。
なんだか最近、お昼の時間がすごく楽しみになってる自分がいた。
はじめの頃は気が重かったのに、今は足取りさえ軽い。



