っていうか、いまのウインク、ちょっと鳥肌たっちゃった。


昔のアイドルでもないのに、そんなウインクされても喜ばないよ、ね?


そっと顔をもとに戻すと。


目の前には、頬をだらしなく緩めた千春ちゃん。



……喜んでる……!



「千春ちゃん、しっかりして!」



両肩をガシッとつかみ、大きくゆさぶる。

首が振り子人形のようにブンブン振られる。



「ん?なにが?」


「黒羽の人たちに毒されちゃダメだよ!」


「えー?」


「もっと自分を大切にしよう!」


「やだー、愛莉。何言ってんのぉ~?」



体までクネクネさせちゃって。


こ、これはもう手遅れかもしれない……。