南里くんは口に手を当てて絶句……の表情を見せると、なにも言わないまま教室を出て行ってしまった。


……しょぼん。


そんなにあたしの姿を見るのが耐えられなかったのかな。


へこむなぁ。長年の幼なじみにもそんな風に思われて。



鏡で自分の顔を見てみる。



「わっ……」



これが、あたし……?


目元はピンクベースに色がついていて、まつ毛はどこから生えてきたのかと思うくらい長くくるんとカールされている。頬にはうっすらピンクのチークが乗っていて、唇も薄いピンク色のグロスでつやつやしていた。

自分じゃないみたい。



「ち、千春ちゃん……?」


「一応清楚系で仕上げてみたんだけど、どう?」



どう?って、千春ちゃん、さっきやばいって……。



「……ありがとう……」



これが精いっぱいなら仕方ないよね。