あたしはただ、紙きれを眺めていただけなのに。
あの一瞬で、何かあると判断した翔和さんがすごすぎる。
ここまで的確に精査できた煌くんにも。
「ありがとうございましたっ……」
煌くんが来てくれなかったらどうなってただろう。
あたしは今頃……。
ぶるるるっ。
考えると恐ろしくて、また体が震えてカップの中身が波打つ。
「……万一、今後こういうことがあったら、まず俺に言え」
震えを止めてくれるように重なる煌くんの手。
今度は、温かく感じた。
「……はい」
「マジ、心臓止まるかと思った」
「……ごめんなさい」
「いや、愛莉が謝ることじゃねぇよな。元は俺のせいだ。こんなこと二度と起きないように守るから」
「……っ」
今日の煌くんはとっても優しくて素直で、煌くんじゃないみたいでなんだか不思議な気分。



