両手でカップを包みながら、少し口をつける。
甘くて優しい味が体にしみわたって、ほんとに心が落ち着いていく。
「とっても、美味しいです」
「よかった」
安堵の息を吐いた煌くんは、あたしの隣に腰を下ろした。
その顔はまだ険しいままだったけど、それはあたしのことを心配してくれているからだろうし、怖くはない。
いつも振り回されてばっかりなのに、今日はすごく煌くんが優しい。
口調もすごく優しくて、こんな煌くん、煌くんじゃないみたいだけどとても落ち着く。
「マジで心配した」
煌くんは両手であたしの頬をそっと包んだ。
いつもの冷たい手。
「……っ」
ビクッと体が反応したけど、カップを持っているから下手に動くと中身がこぼれちゃうし、体を遠ざけることはしなかった。
それに……不思議と、イヤじゃなかったんだ。
なぜか、心地いい……。



