溺愛総長様のお気に入り。



***


ふかふかのソファに優しく下ろされる体。


その前にしゃがみ、あたしの手を握ってくれる煌くん。


あたしはまだ体の緊張が解けない。

手のひらは冷たくて、小刻みに震えている。


だって、ほんとに怖かったから。



「ちょっと待ってて」



煌くんがそばを離れる。


……行かないで……

思わず心の中で言ってしまった。


それだけで、なんだか心細くて。


あたし、どうしたんだろう……。




しばらくするといい香りが漂ってきて、カップを手に煌くんが目の前に戻ってきた。



「ミルクティー淹れた。これ飲んで落ち着こう」



ミルクティー……あたし大好きなんだ。



「ゆっくりでいい。起きれるか?」



軽くうなずいて、カップを受け取る。



「熱いから気を付けて」