溺愛総長様のお気に入り。



男たちはそれぞれうめき声を出しながら転がっていて、まだ誰も立ち上がれないでいる。


こんなに強い煌くんが来てくれた。


もう大丈夫だってわかっていても、この人たちのそばにいるのが怖くてたまらない。



「…………あの……っ」


「ん?なに?」



必死に絞り出した声に、耳を寄せてくれる煌くん。



「……ここから……出たいです」



こんなところから一刻も早く出たくてたまらないの。


そうじゃないと、恐怖からは解放されない。



「そうだな。行こう」



すると、視界が反転してふわりと浮く体。


煌くんが、あたしをひょいっと抱き上げたのだ。



「……っ!?」



……これは、俗に言うお姫様抱っこで。


でも、恥ずかしいから下ろしてほしい……よりも、なぜか煌くんに抱えられている安心感の方が大きく。


あたしはそのままの体勢であやめまで運ばれた。