溺愛総長様のお気に入り。



えっ……。


これを、一瞬の隙に煌くんがひとりで……?


ドアの向こうにも、見張りがいたのか倒れている足が見えた。



「愛莉っ、大丈夫か!?」



あたし、助かったんだ……。


……ああ……。



「……ううっ、ううっっ……ひっく……っ」



たまらず泣いてしまった。


男たちの前では怖くて声も出なかったのに、なぜか煌くんの胸の中はすごく落ち着いた。


どうしてだろう。

煌くんだって、男には変わりないのに。



「俺のせいだな……悪い……」


「ううっ……ひっ……」


「怖かったよな」


「……っ……ううっ……」


「間に合って、良かった……」



あたしを抱きしめてくれる手に力が入る。


いつもの煌くんからは想像もできないような必死な声。


そんな煌くんのシャツに、あたしもしがみつく。



「こいつら、絶対に許さない」