「愛莉ってばつれないなー」



頬を膨らませる千春ちゃんのメイクは日々腕を上げている。


去年まではすごくナチュラルだったのに。

あたしは悲しいよ……。



「千春ちゃ~ん、お願いしてた数学のノート貸して~」



そのとき、近づいてきた声を聞いてあたしは反射的に体をよけた。


わっ、男の子っ!

教室の中で男の子の声がすることに、あたしは未だに慣れないんだ。



「あ、レンくん!オッケー!」



千春ちゃんはにっこり笑って手をあげる。