溺愛総長様のお気に入り。



「クックックッ、マジで来たよ」


「鷹柳の彼女もチョロいなあ!」


「なあ?だから来るって言っただろ。俺の勝ちだな。1万ゲット!」



なんの話……?


一気に怖さが襲い、全身が震え始める。


手に握ってきた手紙がカサカサと音を立てた。



「アイツにチクられたらヤベえからある意味賭けだったけど、案外口固いのな」


「きゃっ……」



ひとりの男があたしの手から手紙を奪い取り、怖くて悲鳴のような声を上げてしまった。



「なかなか可愛い声出せんじゃん?」


「っ……」



顎先を掴まれ、グッと顔を寄せてくる。


その手からはタバコのにおいがして吐きそうになった。


……ほんとになんなの?


全員柄が悪く、まともに制服を着ている人がひとりもいない。見るからに不良。


怖くて怖くてたまらないのに声を出すことすらできない。その代わり涙だけは溢れてきた。