「あのバイクも、てっきり北斗くんのものかと思ってた」


「兄貴があんなの乗るワケないだろ?真面目一辺倒で面白くもねー兄貴が」


「面白くないは否定するけど、確かに分かるかも」



北斗くんは南里くんと真逆で、小さいころから真面目な慎重派だった。

今は有名大学に通って、薬剤師を目指している。


言われてみればそうだよね、うん。



「それにしてもだよ。お隣さんなのに全然知らなかった」


「愛莉って極度の男ギライなわけじゃん?俺が暴走族に入ったって言ったら愛莉に───」


「きゃーーーー!」



そのとき、話を割くように、廊下からものすごい悲鳴が聞こえてきた。