溺愛総長様のお気に入り。



***


2ーCというプレートのかけられた教室に戻ると、ちょうど2時間目が終わったところだった。



「あれー?愛莉もう大丈夫なの?」



すぐに友人の榎本千春(エノモト チハル)ちゃんが声を掛けてくる。


肩のラインで巻かれたカールがくるんと踊る千春ちゃんは、去年も同じクラスで気心しれた大の仲良し。


ちょっとミーハーすぎるのが玉にきずだけど、優柔不断なあたしとは違って決断力のあるところとか、人にしっかり意見を言えるところはすごく尊敬してるんだ。



「……ぜんっぜん大丈夫じゃないですけど……」



千春ちゃんに聞こえないようにボソッと呟く。

さっきよりも具合悪くなっちゃってるよ、きっと。



「顔色悪いよ?」


「……やっぱり?」