久保さんが本性を私たちの前で見せても、雨宮くんだけは冷静さを保っている。


すごいな、雨宮くん。


感心しながら、雨宮くんと久保さんの会話に耳をすました。


「自分のために死んでくれって、普通他人に言うかよ!」


「俺にとって他人の命より自分の命のほうが大切なんだよ。君だって、そう思うでしょ?」


「んなわけあるか! 俺はあんたと違って、誰かを傷つけたりしない!」


「へぇ、そうなんだ。たとえ自分が死ぬことになっても、そう言えるのかな?」


雨宮くんに責められても、ニヤニヤといやらしい表情を崩さない久保さん。