制服も急いで着たように見える。


カッターシャツのボタンをかけ違えているし、ネクタイは適当に結ばれている。


学校に来たときの雨宮くんを想像すると、なんだか笑えてくる。


よほど焦っていたんだろうな。


クスクスと小さく笑う私を見て、雨宮くんが少し険しい顔をした。


「なんで笑ってるんだよ」


「ふふっ。雨宮くんも可愛いところあるんだなと思って」


「……可愛い? どこが?」


「制服の着方とか、焦ったところとか」


雨宮くんの焦った姿がまた頭の中に入ってきて、さらに笑ってしまう。


雨宮くんは顔を真っ赤にした。