「ちょっと、渡した袋貸してください」

 袋から取り出した下着や服、くつしたにサンダル、それらに付いていたタグを全部外す。
 それを物珍しそうに眺めていたエヴィエニスに、服の着用方法を一通り説明する。
 怪訝な表情で「分かりました?」と確認を取れば、エヴィエニスは「うむ!」と力強く頷いた。
 おっし、じゃあ一人で着れるね! と作り笑いを浮かべながら、洗面所にエヴィエニスを閉じ込め
た。
 1人になった私は、ドアの前で忙しなく右往左往を繰り返す。
 結局、ハアっとため息をついて立ち止まった。

「なんで、私の名前を聞いて嬉しそうにするわけ? 変態の考えることって、理解できない」

 洗面所からガサガサ、ゴソゴソと、着替える音が微かに聞こえてくる。
 さて、尋問の準備でもするかと、私はその場から離れた。


 暴れた時のための反撃グッズとして、何を装備しようか。
 聖剣『孫の手』は、あのモリモリ筋肉を殴った瞬間折れてしまうだろう。
 包丁は……やり過ぎだ。手元が狂って刺してしまったら私の人生が終了する。
 もっと危なくなくて、手にしっくりくる得物がいい。